2010年08月04日

情報元のパワーアップ作業

「ブログ 福娘童話集」と「ブログ 366日への旅」は、情報元の「福娘童話集」と「366日への旅」のパワーアップ作業のために休止いたします。

ブログと同等以上の内容が「福娘童話集」と「366日への旅」に掲載されているので、今後はこちらをご活用下さい。

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福娘童話集」と「366日への旅」、姉妹サイトの「世界60秒巡り」「都道府県巡り」「子どもの病気相談所」は、テレビ放映や書籍出版、ラジオ、携帯ゲーム機などで、幅広く活躍中です。

どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

管理者 福娘。
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2010年07月31日

7月31日の日本の昔話 幽霊の酒盛り

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 7月の日本昔話

7月31日の日本の昔話

幽霊の酒盛り

幽霊の酒盛り

 むかしむかし、あるところに、一軒(けん)のこっとう屋がありました。
 このこっとう屋、今日はあいにく主人夫婦が留守なので、おいっ子の忠兵衛(ちゅうべえ)という男が留守番をしています。
 そこへ、金持ちそうなお客がやってきました。

「ふむ、山水(さんすい)か、図柄が、ちょいと平凡じゃな。ふむ、書か。これまた何と、下手くそな字じゃ。ああ、どいつもこいつも、ありきたりでつまらん」
 その時、客の目が光り輝きました。
「むむっ、こいつは珍しい! 気に入ったぞ。主人、この掛け軸はいくらだ?」
 それは、女の幽霊の絵の掛け軸でした。
 おじさんがただ同然(どうぜん)で買ってきたガラクタだったので、二十文(→六百円ほど)ももらえば十分だと思って、忠兵衛は客に指を二本出して見せました。
 すると客は、
「なに、二十両(→百四十万円)? そいつは安い!」
と、大喜びです。
「えっ? 両? いや、あの、その・・・」
 目をパチクリさせている忠兵衛に、客は、財布を渡して言いました。
「今はあいにくと、持ち合わせがない。だから、手つけ(→契約金)だけを払っておこう。残りの金は明日持って来るから、誰にも売らないでくださいよ」
「へい、もちろんです」
 忠兵衛が客を見送ると、受け取った財布の中を見てみました。
「うひゃあ、すごい大金だ!」
 おじさん夫婦の留守の間に思わぬ大金を手にした忠兵衛は、すっかりうれしくなり、幽霊の掛け軸を相手に、一人で酒盛りを始めたのです。
「いや、ゆかいゆかい。ちょっと店番をして二十両か。笑いが止まらねえとは、この事だ。・・・しかし、二十両だと思って見てみると、この幽霊は、なかなかの美人だな」
 そして、掛け軸の中の幽霊にむかって、
「お前さんのお陰で、大金をかせがせてもらうのに、おれ一人で飲んでちゃ、申し訳ねえな。おい、お前さん、ちょっと出て来て、おしゃく(→お酒をつぐこと)でもしてくれや」
と、言った、その時です。
 夏だというのに、あたりがスウーッと冷たくなり、風もないのにあかりがパッと消えて、ふと気づくと、目の前に見知らぬ女の人が立っているのです。
「ん? ま、まさか、その顔は」
 忠兵衛が掛け軸を見ると、掛け軸はもぬけの空で、まっ白です。
「ぎゃあ! で、出たあ!」
 何と、掛け軸の幽霊は美人とほめられたのがうれしくて、本当に、おしゃくをしに出てきたのです。
 初めは怖がっていた忠兵衛も、相手が美人の幽霊なので、そのうちにすっかりいい気分になりました。
 おまけに、この幽霊の酒の強い事。
 忠兵衛が歌えば、それに合わせて幽霊が踊ります。
 二人は夜通し、飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎをしました。

 次の朝、すだれから差し込む朝日で、忠兵衛は目を覚ましました。
「ふわ〜。もう朝か。しかし、変な夢を見た物だ」
 そしてふと、幽霊の掛け軸を見てびっくり。
 何と、掛け軸の絵の幽霊が、酒に酔って寝ているではありませんか。
「ね、寝てる!」
 忠兵衛は寝ている幽霊を見ながら、泣きそうな顔をしてつぶやきました。
「う〜ん、困ったなあ。早く起きてもらわないと、二十両がパーになっちまうよう」

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 蓄音機の日
きょうの誕生花 → やなぎらん
きょうの誕生日 → 1967年 本田美奈子(歌手)


きょうの日本昔話 → ゆうれいの酒盛り
きょうの世界昔話 → 青ひげ
きょうの日本民話 → 鳥になったかさ屋
きょうのイソップ童話 → セミ
きょうの江戸小話 → かみなり

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2010年07月30日

7月30日の日本の昔話 鏡の中の親父

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 7月の日本昔話

7月30日の日本の昔話

鏡の中の親父

鏡の中の親父

♪朗読再生

 むかしむかし、田舎(いなか)では、カガミという物をほとんど知らなかった頃の話です。

 ある若夫婦が、夫の父親と三人で仲良く暮らしていました。
 ところがある日の事、父親は急な病で死んでしまったのです。
 大好きな父親に死なれた息子は、毎日毎日、涙にくれていました。

 さて、ある日の事、その息子は気ばらしにと、江戸の町へ出かけました。
 そして町中をぶらぶらと歩いていると、店先においてあったカガミがピカリと光ります。
「おや? 今のは何だろう?」
 不思議に思った息子は、ピカッと光ったカガミをのぞいて見てびっくり。
「死んだ親父に、こんなところで会えるとは!」
 カガミにうつった自分の顔を父親と勘違いした息子は、なけなしのお金をはたいて、そのカガミを買いました。
 そしてそれを大事にしまうと、ひまさえあればのぞき込んでいました。
 そんな夫の行動を不思議に思った女房は、夫が昼寝(ひるね)をしているすきに、隠してあるカガミをこっそりのぞきこみました。
 するとカガミの中には、とうぜん、女房の顔がうつります。
 しかしそれを見た女房は、血相(けっそう)を変えて怒りました。
「なんとまあ! こんなところにおなごを隠しておるとは、それも、あんなブサイクなおなごを!」
 腹を立てた女房は、
 ガシャーン!
と、大切なカガミを壊してしまいました。
「さあ、ブサイク女。よくもあたしからあの人を奪いやがって、はやく出て来い!」
 女房は壊れたカガミをひっくり返してみましたが、もちろん、誰も出てはきません。
「ちくしょう。逃げたな!」
 女房は気持ちよさそうに昼寝をしていた夫をたたき起こすと、こわい顔で言いました。
「あんた! わたしに黙って、あんな所へおなごを隠しておるとは、どういう事!」
「はあ? おなご? 何を一体・・・。ああっ! なんという事をしてくれた。あれにはわしの親父が入っておったのに!」
「うそおっしゃい。ブサイクなおなごじゃったよ」
「何を言う。わしの親父だ!」
 そんなわけで、夫婦の大喧嘩が始まりました。
 ちょうどそこへ、村一番の物知りの庄屋(しょうや)さんが近くを通りかかりました。
「まあまあ、なにを喧嘩しておる。落ち着いて、わしに事情を話してみろ」
 そして二人の話を聞いた庄屋さんは、腹を抱えて大笑いです。
「あははははっ。何じゃ、そんな事か。それはな、カガミといって、自分の姿がうつる物じゃ。亭主が見た親父さんと言うのは、自分の顔じゃ。そして女房が見たおなごも、自分の顔じゃ」
 庄屋さんの説明に、夫も女房も大笑いしました。
「なるほど、親父にしては、若いと思った」
「あたしも、どうりで、美人なおなごと思った」

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → プロレス記念日
きょうの誕生花 → にちにちそう
きょうの誕生日 → 1928年 荒井注(俳優)

きょうの新作昔話 → 弥三郎(やさぶろう)ばばあ
きょうの日本昔話 → 鏡の中の親父
きょうの世界昔話 → オオカミ退治
きょうの日本民話 → 吹雪と女幽霊
きょうのイソップ童話 → ライオンとイノシシ
きょうの江戸小話 → かいだんのおりかた

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2010年07月29日

7月29日の日本の昔話 聞きちがい

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 7月の日本昔話

7月29日の日本の昔話

聞きちがい

聞き違い
島根県の民話島根県情報

 むかしむかし、お医者さんの家で働いている男がいました。
 いつも言われた事を忘れたり、聞き違えたりするので、みんなからおろか者と言われていました。
 ある時、魚屋が魚を売りにきました。
 おろか者は、お医者さんのところへ行って、
「魚屋が、魚を売りにきた」
と、言いました。
「よしよし、そんなら一匹もらっておけ」
 そこでおろか者は、魚を一匹買いました。
 でも、どうやって料理したらいいのかわかりません。
 おろか者は、またお医者さんのところへ行きました。
「魚の料理は、どうする?」
 すると、お医者さんが言いました。
「煮ても焼いてもいいから、お前の好きなように料理してくれ」
 そこでおろか者が包丁で魚を切ろうとしたら、犬が一匹やってきて、ワンワンとほえました。
「しっ、あっちへ行け」
 追い出そうとしても、ますますほえるばかりです。
 おろか者はすっかり困ってしまい、お医者さんのところへ行きました。
「あの、犬が来てワンワン鳴くけど、どうしたらいい?」
「かまわないから、頭でも一発食らわせてやれ」
 お医者さんは、犬の頭を殴れと言ったのに、おろか者は聞きちがいをして、
(そうか、頭を食らわせればいいんだな)
と、思いました。
 そこで魚の頭を切って、犬に投げました。
 犬は喜んで、魚の頭を食べました。
 ところが食べ終わると、犬はまたワンワンほえました。
「このよくばりめ」
 おろか者が犬を追い出そうとしても、足もとにまつわりついてほえたてます。
 おろか者は、お医者さんのところへ走って行きました。
「頭を食らわせたのに、まだワンワンほえているけど、どうしたらいい?」
「そんなら、まん中のところを、思いきり食らわせてやれ」
(いいのかな? まん中のところなんか食らわせて)
 おろか者は不思議そうに首をふりながらもどってくると、魚のまん中を切って犬に投げました。
 犬は大喜びで、魚を食べました。
 もう残っているのは、しっぽだけです。
 それでも犬は、しっぽがほしくてワンワンほえました。
「お前は、なんてよくばりだ」
 おろか者は、またまたお医者さんのところへ行きました。
「頭もまん中も食らわせたのに、まだワンワンほえているけど、どうしたらいい?」
 お医者さんはとうとう腹を立て、大声で言いました。
「いいかげんにしろ! 頭もまん中も食らわせて逃げないなら、しっぽでもつかんで思いっきり遠くへ投げとばせ」
(なるほど。遠くへ投げとばせばいいんだな)
 おろか者はもどってくると、残っている魚のしっぽをつかんで庭へ出て、思いっきり遠くへ投げつけました。
 犬はそれを見てかけだし、魚のしっぽをくわえたかと思うと、そのまま逃げていってしまいました。
「やれやれ、これでやっと静かになったぞ」
 おろか者は、ほっとしました。
 さて、しばらくすると、お医者さんがやってきて、
「どうだ、魚の料理は出来たか?」
と、言いました。
 すると、おろか者はにこにこして、
「はあ、だんなさんの言う通り、犬に頭を食らわせ、まん中を食らわせ、しっぽを遠くへ投げたら、やっといなくなった」
と、言いました。
「なに、犬に魚を食らわせただと! わしが食らわせろと言ったのは、殴れという事だ。しっぽをつかんで投げるのは犬の方だ!」
「はあ、それならそうと、言って下さればいいのに」
「・・・・・・」
 お医者さんはあきれて、それ以上は何も言えなくなってしまいました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 肉の日
きょうの誕生花 → ダリア
きょうの誕生日 → 1947年 せんだみつお(タレント)


きょうの日本昔話 → 聞きちがい
きょうの世界昔話 → ハンスとカエルの嫁さん
きょうの日本民話 → 十数えてごらん
きょうのイソップ童話 → 旅人と真実の女神
きょうの江戸小話 → ネギちがい

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2010年07月28日

7月28日の日本の昔話 うば捨て山

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 7月の日本昔話

7月28日の日本の昔話

うば捨て山

うば捨て山

 むかしむかし、おじいさんやおばあさんを、まるで大事にしない国がありました。
 親が六十才になると、その子や孫は、うば捨て山に親を捨てに行かなければなりません。
 そうしないと殿さまから、それはひどい目にあわされるのです。

 ある年の事、ちょうど六十才になったおじいさんがいました。
 息子や孫たちは、とてもつらい気持ちで、おじいさんをかごに入れると、仕方なく山へ出かけて行きました。
 うば捨て山は、昼でも暗い森の奥で、しかも道らしい道もないので、ちゃんと目印をつけていないと、ふもとには帰れません。
 おじいさんは、時々かごの中から手を出して、道の木の小枝をポキポキと折りました。
「おじいさん、こっそり村へ帰るつもりかな?」
 孫の男の子が、ボソッと、つぶやきました。
「おじいさん、ポキポキ折った小枝をたよりに、また帰りなさるんか?」
 息子も心配顔で、おじいさんに尋ねました。
 もしそうだとすると、大変です。
 しかしおじいさんは、静かに首を振りました。
「そうじゃない、わしはもう、死ぬ覚悟は出来ておる。でもな、お前たちこそ、もう一度村へ帰らねばなるまい。この道もない暗いやぶで迷わぬように、わしは、こうしているんだよ」
「・・・! おじいさん、ごめんなさい!」
「おじいさん、堪忍してくだされ!」
 孫の男の子も息子も、その場に頭を着いてあやまりました。
「いいとも、いいとも、心配するな。それよりも日がくれる前に、早くうば捨て山に行こうじゃないか」
 おじいさんは、孫の頭をなでながら言いました。
「いいえ、だめです! 殿さまから、どんなにされても構わない。おじいさんも一緒に村へ戻ってくだされ!」
 息子は泣きながら、キッパリと言いました。
 こうして息子たちはこっそりと、おじいさんを連れ戻して、家の奥に隠しておきました。

 ところがその頃、この年寄りを大事にしない国は隣の国から、なぞをかけられていました。
 初めに、どこから見ても、色も形もそっくり同じ二匹のヘビを持って来て。
「どちらがオスで、どちらがメスか、わかるかね?」
 みんな首をひねって、うなるばかりです。
「だれか、わかる者はいないか?」
 赤い顔をした役人が、大声でどなりちらしたとき、孫の男の子が前に出て言いました。
「そんなのわけないや、家の座敷にワタをしいて、はわせてみればいい。一匹はジッとしてる。もう一匹はノロノロはい出すさ。こっちがオスで、おとなしくしているのがメスに決まってる」
「うむ、そのとおりだ」
 隣の国の使いの者も、感心しました。
 でも男の子は、いつかおじいさんに聞いて、ヘビの性質を良く知っていたのです。
 それからも、次々と難しいなぞが出されました。
 男の子はわからないと、そっと家に帰っては、おじいさんに答えを聞いて、見事になぞを答えました。
「むむむむっ、負けた、負けた。この国は、なんとりこう者のいる立派な国だろう」
 なぞをかけてきた国の使いは、こそこそと帰っていきました。
 さて、難しいなぞを解いたのは、本当は、おじいさんだったということは、すぐに殿さまにもわかりました。
「いやはや、これまで悪い事をしてきたわい。もう二度と、年寄りをうば捨て山に捨ててはいかんぞ」
 そこでさっそく、国中に新しい命令が出されて、それからは年寄りを大切にする国になったのです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 第一次世界大戦開戦日
きょうの誕生花 → つゆくさ
きょうの誕生日 → 1978年 矢井田瞳(シンガー)

きょうの新作昔話 → ひょうたんの大入道
きょうの日本昔話 → うば捨て山
きょうの世界昔話 → 人魚のしかえし
きょうの日本民話 → 万蔵とウマ
きょうのイソップ童話 → からいばり
きょうの江戸小話 → とこを取れ

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2010年07月27日

7月27日の日本の昔話 犬が寒がらない理由

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 7月の日本昔話

7月27日の日本の昔話

犬が寒がらないわけ

犬が寒がらない理由
岡山県の民話岡山県情報

 むかしむかしの大むかし、火なし村という、火のない村がありました。
 ところがこの火なし村の南の方の山に火を使っている村があって、そこでは火が消えないよう、一日中たき火をしていました。
 たき火のまわりには火を取られないよう、見張りの男が何人もいて、よその村の人を近づけません。
 もし火を取りにきたら、すぐに捕まえて殺してしまうのです。
 さて、火なし村に、とても親思いの娘がいました。
 年を取ったお父さんやお母さんに、なんとかしてあたたかい物を食べさせてやりたいと思い、村の人の止めるのも聞かずに、犬を連れて南の方の山へ向かいました。
 うわさ通り山の上の空き地には、赤々と火が燃えていて、そのまわりには何人もの見張りの男が立っています。
 娘は岩の後ろに隠れて、しばらく様子を見ていました。
 そのうちに、
「ああ、腹が減った。めしだ、めしだ」
と、言って、見張りの男たちが近くの小屋に入っていきました。
(今だわ!)
 娘は火のついた木の枝を二、三本つかんで、駆け出しました。
 そしてようやく山の途中まできた時、後ろから男たちの声が聞こえてきました。
「だれかが火のついた枝を盗んだぞ! 捕まえて殺してしまえ!」
 娘は急ぎましたが、追っ手の声はどんどん近づいてきます。
(もうだめわ。このままでは捕まってしまう)
 その時、一緒に走っていた犬が娘さんの顔を見てワンとほえ、火のついた枝をくわえさせろと言わんばかりに口を開けました。
 娘は火のついた枝を一本、犬の口にくわえさせました。
「お願い、これを父母のところへ届けてね」
 でも犬は、娘に早く逃げろと言うように首をふり、そのまま後戻りをして山へのぼっていくではありませんか。
「ありがとう」
 娘はお礼を言うと、のこりの枝を持ったまま、山道をかけおりていきました。
 やがて見張りの男たちは、火のついた枝をくわえている犬を見つけました。
「なんだ、火を盗んだのは犬か。しかし犬とはいえ、火を盗むのは許せん!」
 男たちは、犬をなぐり殺してしまいました。
 そんな事とは知らない娘は、走りに走ってやっと村へ着く事が出来ました。
「これが、火というものか」
「ありがたい、ありがたい。これからは、わしらの村でも火を使えるぞ」
 火なし村の人たちは大喜びでたき火を始め、その火で食べ物を煮たり焼いたりしました。
 さて次の日、娘が山道へもどってみると、そこには殺されて冷たくなっている犬が転がっていました。
「ごめんね、ごめんね」
 娘はその犬を抱きかかえると、村へもどってきました。
 村の人たちは、娘の身代わりになってくれた犬を見て、手を合わせました。
 さてそれを、神さまが空の上から見ていました。
「犬よ、お前の行いは立派であったぞ。これからは二度と冷たい思いをしないよう、お前たちの体をあたたかくしてやろう」
 それから犬は、いつも体がポカポカしていて、どんな寒い日でも平気だという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → スイカの日
きょうの誕生花 → フィソステギア
きょうの誕生日 → 1930年 高島忠夫(俳優)


きょうの日本昔話 → 犬が寒がらない理由
きょうの世界昔話 → 四色のさかな
きょうの日本民話 → オオカミの恩返し
きょうのイソップ童話 → 金のライオンを見つけた男
きょうの江戸小話 → カニのふんどし

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2010年07月26日

7月26日の日本の昔話 娘の寿命

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 7月の日本昔話

7月26日の日本の昔話

娘の寿命

娘の寿命
岩手県の民話岩手県情報

 むかしむかし、年をとってから、やっと女の子にめぐまれた夫婦がいました。
 娘が年頃になると、両親は家の留守番を頼んで、毎日、畑仕事に精を出していました。
 ある夏の日の事、年を取った汚い身なりの旅のお坊さんがやってきて、家の前で物乞いをしました。
「旅の僧です。空腹で困っております。何か食べ物を」
 娘が食べ物を手わたすと、お坊さんは娘の顔を見ながら言いました。
「美しい娘さんじゃな。いくつになられた?」
「はい。十八です」
 娘が答えると、お坊さんはなぜか悲しそうにうなずいて、立ち去っていきました。
 この様子を、畑からもどってきた父親が見ていたのです。
 気になった父親は、すぐに追いかけて、お坊さんに理由を聞きました。
 するとお坊さんは、
「娘さんはもうすぐ、急な病で亡くなります。それがお気の毒で」
と、いうのでした。
 父親はおどろいて、
「どっ、どうしてわかるのです! それが娘のさだめなら、どうすれば逃れる事が出来るか、お教えください!」
と、とりすがるようにいいました。
 旅のお坊さんは、やがてゆっくりと口をひらきました。
「白酒と杯三つを、目隠しした娘さんに持たせて、朝六時に東の山にむかって歩くようにいいなさい。どこまでもどこまでも歩いて、もう進めなくなったら、目隠しをとりなさい。すると岩の上に三人のお坊さんがすわっているから、なにもいわずにどんどんお酒を飲ませ、お酒がなくなったら、そのとき初めて口をひらいて、命乞いをしなさい。うまくいけば、娘さんは長生き出来るでしょう」
「ありがとうございました。さっそく、その通りにいたします」
 翌日、父親は教えられた通り娘にお酒を持たせて、目隠しをしました。
 そして朝六時きっかりに、家から東の山にむかって歩かせました。
 娘がどんどん歩いていくと、やがて行き止まりになったので、目隠しを取るとそこは岩穴の中でした。
 目の前の一段高い岩の上に、赤い衣を着た三人のお坊さんがすわっています。
 娘はお坊さんたちにどんどんお酒をすすめ、お酒がなくなるとやっと口をひらいて、お坊さんたちにいいました。
「わたしは、お願いがあってまいりました。もうすぐ、わたしは死ぬという事ですが、どうかお助けくださいませ」
 深く頭をさげて命乞いをすると、三人のお坊さんは、赤くなった顔を見あわせました。
「人の運命を変えてはいけないのだが、こんなにごちそうになっては、何とかしなければならんな」
と、一人のお坊さんがいいました。
 二人目のお坊さんは、持っていた帳面を見ながら、
「なるほど。あと三日の寿命じゃな」
と、いいました。
 三人目のお坊さんは、娘に年齢をたずねました。
 娘が、
「はい。十八でございます」
と、答えると、お坊さんたちは、
「よしよし、わかった。ちょっと八の字をくわえてやろう」
と、帳面に八の字を書きくわえて、娘の寿命を八十八にしたのです。
 おかげで娘は幸せな結婚をして子宝にも恵まれ、大した病気も無く八十八歳まで長生きをしたという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 幽霊の日
きょうの誕生花 → ステファノティス
きょうの誕生日 → 1950年 萩原健一(俳優)

きょうの新作昔話 → 狩りをやめた殿さま
きょうの日本昔話 → 娘の寿命
きょうの世界昔話 → ウサギのお嫁さん
きょうの日本民話 → ろくろ首を退治した坊さん
きょうのイソップ童話 → ペテン師
きょうの江戸小話 → ろうそくちくわ

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2010年07月25日

7月25日の日本の昔話 弘法の衣(弘法大師)

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7月25日の日本の昔話

弘法の衣(弘法大師)

弘法の衣(弘法大師)
山梨県の民話山梨県の情報

 むかしむかし、あるところに、外見だけで人を判断する、とても心のせまい主人がいました。
 この主人の家に、みすぼらしい姿のお坊さんが、托鉢(たくはつ)にやって来たのです。
 お坊さんが主人の大きな家の前に立って鐘を鳴らしてお経を読み始めると、家の中から主人が出て来て、お坊さんの姿をじろりと見て言いました。
「ふん、乞食坊主(こじきぼうず)が。いくらお経を読んでも、お前みたいな汚らしい奴にやる物はないぞ。とっとと出て行け!」
「・・・・・・」
 そこでお坊さんは黙って頭を下げると、そのまま立ち去ったのです。
 さて次の日、同じ家に今度は立派な袈裟衣(けさごろも)を着たお坊さんが立って、鐘を鳴らしてお経を読み始めたのです。
 すると、それを見た家の主人はびっくりして、
「これはこれは、お坊さま。あなたの様な立派なお方が、こんなところではもったいのうございます。ささ、どうぞ家に上って下され」
と、お坊さんを家の中に通したのです。
 そして主人は家の者に山の様なぼた餅を用意させると、お坊さんの前に差し出しました。
「ささ、大した物は用意出来ませんが、どうぞ、お召し上がり下さい」
 すると、お坊さんは、
「これはこれは、どうもご親切に」
と、言いながら、そのぼた餅を手に取って、キラキラと光る袈裟衣へ、ベタベタとなすりつけたのです。
 それを見た主人は、びっくりして言いました。
「お坊さま。せっかくのぼた餅を何ともったいない。その上、その立派なお衣まで汚されてしまうとは」
 するとお坊さんは、すました顔で言いました。
「ご主人は、覚えていないかもしれませんが、わしが昨日来た時、あなたはわしのみすぼらしい姿を見て、わしを追い返されました。
 そして今日は、わしのこの衣を見て、この様にごちそうまでしてくださる。
 昨日のわしも、今日のわしも、同じわしじゃ。
 違うのは、身にまとうている衣だけ。
と、すると、家に上げてぼた餅をくれたのは、中身のわしではなくて、わしが着ているこの衣ではないのか?
 そこでわしは、このぼた餅を口には入れずに、ごちそうしてくださった衣に食わせてやったのじゃ。
 では、これにて失礼する」
 お坊さんはそう言うと、そのまま旅に出てしまいました。

 後になって家の主人は、このお坊さんが有名な弘法大師だった事を知ると、自分のした事を深く反省して、それからは誰にでもやさしく接する、とてもやさしい主人になったと言うことです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → かき氷の日
きょうの誕生花 → むぎわらぎく
きょうの誕生日 → 1964年 高島礼子(俳優)


きょうの日本昔話 → 弘法の衣
きょうの世界昔話 → 子どもをうむなべ
きょうの日本民話 → 助けたツルの恩返し
きょうのイソップ童話 → 旅人とクマ
きょうの江戸小話 → 安全水泳法

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2010年07月24日

7月24日の日本の昔話 ぶんぶく茶がま

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7月24日の日本の昔話

ぶんぶく茶がま

ぶんぶく茶がま

♪朗読再生

 むかしむかし、あるところに、貧乏な古道具屋がいました。
 ある日の事、古道具屋は一匹のタヌキが、ワナにかかっているのを見つけました。
 古道具屋はかわいそうに思って、そのタヌキをワナから助けてやりました。
 次の日の朝、昨日のタヌキが古道具屋の所へやって来て言いました。
「昨日は、本当にありがとうございました。お礼に良い事をお教えしましょう。隣村の和尚(おしょう)さんが茶がまを欲しがっていますから、茶がまを持って行けば喜びますよ。わたしが茶がまに化けますから、持って行って売って下さい」
 そういうとタヌキは、くるりと宙返りをして、素晴らしい金の茶がまに化けました。
 さっそく古道具屋が、茶がまを持って行くと、
「うーん、これは見事!」
と、和尚さんはタヌキの化けた茶がまを大変気に入った様子で、とても高い値で買い取ってくれました。
 さて、新しい茶がまを手に入れた和尚さんは、小坊主に、
「この茶がまを、洗ってきなさい」
と、言いました。
「はい」
 小坊主はさっそく、裏の川へ行って茶がまをゴシゴシと洗いました。
 すると茶がまは、
「おい小坊主、もっとやさしく洗ってくれ、尻が痛くてたまらん」
と、しゃべったのです。
「うひゃー、茶がまがしゃべった!!」
 びっくりした小坊主は、あわてて和尚さんにこの事を話しましたが、和尚さんは信じてくれません。
「何を馬鹿な。茶がまがしゃべるはずなかろう」
「でも、本当なんです」
「まあ良い。それより、次はお湯をわかしておくれ」
 そこで小坊主は言われるままに、タヌキの化けた茶がまに水を入れて火にかけました。
 すると茶がまに化けたタヌキは、びっくりです。
「あちちちち! お尻に火がついた!」
 タヌキは一目散に、山へ逃げていきました。
 その夜、タヌキはまた、古道具屋の家にやって来て言いました。
「二人で町へ行きましょう。私がつなわたりをしますから、人を集めて下さいな」
 次の日、古道具屋とタヌキは町へ出かけて、芝居屋を貸し切りました。
「さあさあ、世にも珍しい、タヌキのつな渡りだよ」
 入り口で古道具屋が大声で言うと、タヌキはつなの上を器用に渡りながら、腹づつみを打ったり歌ったりします。
「これは珍しい。何て面白いんだろう」
 タヌキのつな渡りは大評判となり、毎日押すな押すなの大にぎわいです。
 こうして古道具屋は、タヌキのお陰で大金持ちになったという事です。

おしまい

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2010年07月23日

7月23日の日本の昔話 なぞなぞ絵手紙

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 7月の日本昔話

7月23日の日本の昔話

なぞなぞ絵てがみ

なぞなぞ絵手紙

♪朗読再生

 むかしむかし、ある町の店に、村から嫁いできたお嫁さんがいました。
 お嫁さんはよく働き、気だてもよくて、申し分ないのですが、あいにく文字の読み書きが出来ません。
 ある日の事、このお嫁さんが、久しぶりに村のお母さんの所へ里帰りする事になりました。
 お嫁さんに、お土産を持たせた夫は、
「おっかさんに、この手紙を持って行きなさい」
と、筆と紙を取りました。
「あの、うちのおっかさんも、読み書きが出来ません。すみませんが、字の手紙でなく、絵手紙にしてください」
「わかった。じゃあ、絵手紙にしよう」
 夫は紙に、『一升ます』と、『草かりがま』と、『女の人の着物に噛みつきそうなイヌ』を、サラサラッと絵にして、お嫁さんに渡しました。

 さて、それから数日後。
「おっかさん、ただいま」
「まあまあ、よく帰って来てくれたね。さあ、ゆっくりしていっておくれ。で、どうだい? 町での暮らしは」
「はい。夫はやさしくしてくれるし、お店は繁盛しているし、毎日がとても楽しくてね。それでつい、帰るのが遅くなって・・・」
 お嫁さんは、つもる話をしてから、
「あっ、そうそう。夫から、絵手紙を預かってきましたよ」
と、お母さんに、絵手紙を差し出しました。
 それを受け取ったお母さんは、絵手紙を見て首を傾げます。
「はて、『一升ます』と、『草かりがま』と、『女の人の着物に噛みつきそうなイヌ』。何の事やら、読み取れませんよ」
 そこで、お母さんとお嫁さんは、隣に住む物知りのおじいさんに、この絵手紙を読み解いて欲しいと頼みました。
 すると、
「ふむ、ふむふむ。気の毒じゃが、これは、離縁(りえん)状じゃよ」
と、言うのです。
「まさか、そんな事は・・・。でも・・・、そんなあ・・・」
 お嫁さんは悲しくなり、シクシクと泣き出しました。
「何かの間違いです。ちゃんと、読み解いて下さい」
 お母さんが言うと、おじいさんは絵手紙をお母さんに見せて言いました。
「いいかい。『一升ます』は、一生の事。『草かりがま』と『イヌ』で、かまワン、となる。つまりだ、『おまえの事は、一生構わんから、帰ってこなくていい』と、言う事じゃ。ほんに、気の毒になあ」
「うわーん!」
 お嫁さんは、あまりの事に泣き崩れてしまい、それから毎日泣き暮らしていました。

 そんなある日の事、夫が町から尋ねてきました。
「いつまでも、帰ってこないから、病気にでもなったのかと、心配でやって来た。一体、何を泣いているのだ?」
「だっ、だって、絵手紙で『一生かまわん』と、あたしを離縁したではありませんか」
「ああ? 何を言うのだ! イヌの絵を、よく見たのか? イヌが、女の着物のすそを噛もうとしておったろうが。これはつまり、『お前の事は、一生かまう(大事にする)』との意味で、決して離縁状などではない」
 これを聞いて、お嫁さんは、
「まあ、うれしい!」
と、夫に抱きつくと、仲良く手に手をとって、町へ戻って行きました。
 お幸せに。

おしまい

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